マラソンのペース目標を設定する

なぜマラソンのペースを設定する必要があるのか?

中・上級者や制限時間が緩やかなマラソンの場合は、行き当たりばったりで臨んでも問題ないですが、初心者が制限時間のあるマラソンに臨む場合は事前に区間ごとにどれくらいのペースで走るのかおおよその目標を設定してから臨まないと、関門で時間制限にひっかかる可能性が大きいです。

また、時間制限がない場合でも、いろいろとメリットがあるので是非とも目標を設定することをお勧めします。

目標を設定するメリットとデメリットは次の通りです。

メリット

目標となるペースで走れるかどうかを、自身の体と対話しながら走ることで自分の走力を確かめることができます。

デメリット

無難にまとめてしまう傾向があります。

タイムロスの計算

タイムロスがどれくらい発生しそうなのかをあらかじめ見積もっておきます。走力や大会の性質に応じて設定します。以下はタイムロスが発生しやすい箇所です。

発生箇所 発生理由
スタートまで 参加者が多い
スタートから5kmまで 渋滞
ハーフ以降 疲労

スタートまでのタイムロス

参加者が多い場合はスタートまで5分以上かかる場合もあります。

スタートから5kmまでのタイムロス

参加者が多い場合はランナーの間をかいくぐって走る必要があるためスローペースとなります。

ハーフ以降のタイムロス

立ち止まって水を飲んだりする回数が増えてきます。自分の走力に応じて設定します。

関門ごとの通過ペースの計算

関門がある場合は、関門ごとの制限時間を通過できるペースを計算します。

全国健勝マラソン日本海大会2008を例にとって説明します。

本大会の関門は以下の通りです。(2008年)

地点 制限時間 区間距離
ハーフ(21.1km) 2時間30分 21.1km
31.7km 3時間30分 10.6km
37.5km 4時間20分 5.8km
ゴール 5時間00分 4.7km

また、タイムロスを次のように見積もったと仮定します。

区間 タイムロス
スタートまで 5分
5kmまで 5分
第2関門まで 10分
第3関門まで 10分
ゴールまで 10分

この時間からペースを計算していきます

ハーフまでのペースの計算

まず、制限時間の2時間30分から、タイムロス(スタートまで、スタートから5kmまで)を引きます。

時間 = 制限時間(ハーフ) タイムロス
スタートまで スタートから5kmまで
2時間20分 = 2時間30分 5分 5分

となります。ペースは上記の時間を区間の距離で割ることで計算します。秒以下を丸めるときは速いペースのほうに丸めます。すなわち切り捨てします。

ペース = 時間 ÷ 距離(ハーフ)km
6分38秒/km = 2時間20分=140分 ÷ 21.1km

 

第二関門(31.7km)までのペースの計算

まず、制限時間の3時間30分から、タイムロスを引きます。

時間 = 制限時間 制限時間(直前の関門) タイムロス
第二関門まで
50分 = 3時間30分 2時間30分 10分

上記を区間距離10.6kmで割ります。

ペース = 時間 ÷ 距離km
4分43秒/km = 50分 ÷ 10.6km

ここで、とんでもないが判明してしまいました。ハーフを制限時間ギリギリで走った場合、次の第二関門までを4分43秒ペースで走る必要があるということです。 ハーフをギリギリで通過するランナーがこのペースで走ることは事実上不可能でしょう。

ですので、もう一度スタートを含めた区間でペースを計算し直します。

時間 = 制限時間 タイムロス
スタートまで スタートから5kmまで 第二関門まで
3時間10分 = 3時間30分 5分 5分 10分

 

ペース = 時間 ÷ 距離km
5分59秒/km = 3時間10分=190分 ÷ 31.7km

第三関門(37.5km)までのペースの計算

まず、第三関門の制限時間の4時間20分から、手前の第二関門の制限時間とタイムロスを引きます。

時間 = 制限時間 制限時間(直前の関門) タイムロス
第三関門まで
40分 = 4時間30分 3時間30分 10分

上記を区間距離5.8kmで割ります。

ペース = 時間 ÷ 距離km
6分53秒/km = 40分 ÷ 5.8km

ゴールまでのペースの計算

まず、制限時間の5時間00分から、手前の第三関門の制限時間とタイムロスを引きます。

時間 = 制限時間 制限時間(直前の関門) タイムロス
第四関門まで
30分 = 5時間00分 4時間20分 10分

上記を区間距離で割ります。

ペース = 時間 ÷ 距離km
6分22秒/km = 30分 ÷ 4.7km

微調整

上記のように区間ごとのペースを計算した結果、区間ごとに大きな偏りが生じるたり、自分の走力で走れる見込みがないペースとなる場合があります。その場合は前後の区間のペースを変更します。

また、逆にペースに余裕がある場合は、タイムロスのほうに余裕を持たせることもできます。実際に走ってみて余裕があるようなら、見積もったロスを消化する必要はありません。後々のために貯金しておくこともできます。

ペース計算時の注意

時間を距離で割ったときの小数点以下の値はそのままでは秒を表さないので注意してください。例えば6.389は6分38秒ではなく6分23秒となります。

秒に換算するには、小数点以下の値に60(秒)を掛けます。

秒 = 0.389 * 60 = 23

 

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